004 「生き直しの学校」で初のワークショップ開催

2025.09「生き直しの学校」を再訪

2025.9.14 タイ:バンコクから180kmぐらい西方、カンチャナブリ、ムアン カンチャナブリ地区、バンカオにある「生き直しの学校」を訪問しました。麻薬や暴力、虐待などの問題で傷ついた子どもたちの更生・自立を支援する同施設では、子どもたちが安心して生活できるよう、生活支援、心のケアなど、子どもたちの成長をサポートしています。

ワクリスでは、ボランティアツアーなどを通して旅行者が現地コミュニティと交流し、自然と相互理解を深め、観光消費により地域経済に貢献することを目標とする「冒険✕ツーリズム」事業の候補地として、6月に同施設を訪問しており、今回は2回目の訪問になりました。

生き直しの学校への道中、牛が道路をゆっくり歩いていたりする。
生きなおしの学校正面

継続的な自立支援方法の模索

一度目の訪問の結果、ワクリスでは「生き直しの学校」が自ら運営資金を生み出せるような継続的な支援のしくみを作れないかと考え、ワクリスが掲げる2つの事業「文化×商品開発」「冒険×ツーリズム」と「生きなおしの学校」の活動を絡めた支援の形を模索しています。

手始めに「文化×商品開発」として、「生き直しの学校」で「日本の風呂敷バッグづくり」のワークショップを開催することにより、将来的にタイ独自の生地を利用したバッグ等の商品開発に取り組むことができないかの模索を行いました。

「冒険×ツーリズム」では「生き直しの学校」の説明と施設見学を行い、日本人ボランティアツアーを対象として、、、

  • 冒険心をくすぐる異文化体験!を提供できるか?
  • 現地コミュニティと交流し相互理解と地域貢献につながりそうか?

を調査しました。

小さいけれど、大きな一歩「風呂敷バッグ」のワークショップ

「風呂敷バッグづくり」のワークショップには、子供6名と職員2名が参加してくれました。ワクリスの共同創業者である、あやさんが実演しながらする説明を現地のスタッフの方が通訳してくださったおかげで、参加者はバッグづくりに真剣に取り組んでくれ、期待以上の出来栄えで「風呂敷バッグ」を作ることができました。バックづくりに取り組む子どもたちの顔には笑顔があって、自画自賛になりますが、ワークショップは成功といえるものだったと思います。

参加した子どもたちのワークショップへの取り組み方を見ていて「生き直しの学校」で暮らす子どもたちの「ものづくり」への関心度はそこそこあって、ちゃんとしたモノづくりができる環境と指導者が揃えば「生き直しの学校」ブランドの商品を作ることができるかもしれないと感じました。

「風呂敷バッグづくり」ワークショップ終盤の写真

「生きなおしの学校」施設見学

ワークショップが終わると職員の先生と子ども達が施設内を案内してくれました。「生き直しの学校」の敷地はとても広く、施設内には沢山の鶏を育てている鶏舎や山羊の小屋、果樹園などがあり、敷地内にある大きな樹木ではリスが顔を見せてくれました。

当日はカンカン照りでとても暑い日だったのですが、子供たちは嫌がりもせず、人懐っこく手を引っ張ってくれ、施設の飼い犬が伴奏してくれ、あたたかな大家族の雰囲気を味わうことができました。

果樹園でできた作物は収穫量が少ないとのことで、今は自分たちが食べる分だけで商業的な活用はできていないとのことでしたが、これだけの敷地とフレンドリーさがあれば、日本によくある観光農園としてのポテンシャルが十分あるのでは?と感じました。

人懐っこい子供たちと「生き直しの学校」施設見学

子供たちによるビジネスを展望した先生との会話

生き直しの学校にある鶏舎の写真

施設見学の後に「生きなおしの学校で何ができるのか?」この先の展望を職員の先生と会話することができました。

会話する前、私は、鶏舎に買われている沢山の鶏、小屋に買われている山羊、農園にある果樹を見て、自家製食材を利用したオーガニックカフェを併設した観光農園を想像し、そこに訪れる観光客と、イキイキ働く成長した子供たちの姿を創造していました。

しかし、現実はなかなか厳しいようで、施設の運営は、寄付が前提に成り立っていること、訪問者が宿泊する施設のお話はあったが、観光農園やカフェなどの会話はなく、収益を上げる事業としては、今、力を入れているビーズのアクセサリをイベントで販売するぐらいとのことでした。

まずは「生き直しの学校」の存在をもっと知って欲しいと話されていたことが印象的でした。

生き直しの学校にある山羊の小屋の写真

「生き直しの学校」内にある工房でビーズづくり体験

「生き直しの学校」で力を入れているビーズのアクセサリづくりを私たちも体験させてもらうことができました。

「生き直しの学校」内には、いくつかの建物が建っているのですが、ビーズ工房になっている建物の隣には「ベーカリー」の看板がかかっている建物があって「生き直しの学校」が、今まで色んな挑戦をされてきたであろうことが垣間見れました。

ビーズ工房の中に入ると、ちゃんとビーズアクセサリづくりを教える先生がいて、本格的にビーズアクセサリーづくりに取り組まれていることがわかりました。

素材となるビーズの棚には日本語で「ビーズ」と書かれていたり、子どもの中には日本語を上手にしゃべっていたりして、施設の取り組みと日本人との関係の強さを感じることができました。

「生き直しの学校」のビーズアクセサリづくりの先生
ビーズアクセサリづくり体験の写真

ビーズアクセサリづくりは数十分程度だったかと思いますが、アクセサリづくりを通して、職員の先生や子どもたちとの距離がどんどん短くなる感じがして、とても楽しい時間を過ごすことができました。

ちなみに作ったビーズアクセサリは記念にプレゼントしてくれます。私は目が悪くビーズづくりをしなかったのですが、日本語を話す女の子が私にビーズブレスレットとスマホのアクセサリを作ってプレゼントしてくれました。

私の年になると人からモノを貰うことがあまりないので、”感動”もので、自然と「ありがとう!」を連呼していました。

まとめ

今回、初めてのワークショップも無事に開催できたこと、子とも達や施設の職員と友好を深めることができたこと、子供たちによるビジネスの会話を職員の先生とできたことなど、ワクリスとしても大幅に経験値アップとなる有意義な訪問になりました。

同時に、問題を抱えているとは思えない子供たちの笑顔と振る舞いを見て、その裏に、職員をはじめ関係する方々の努力があることを直感的に感じることができました。このような先人達の素晴らしい取り組みを知ることにより、ワクリスが取り組むべき課題を再認識することができました。

反省点として、カンチャナブリ周辺には「ラム・クローン・ングー国立公園」など豊かな自然を体験できる場所があり「冒険×ツーリズム」における、「楽しむ(遊びの)」部分を調査する時間を、もう少しとっても良かったなと感じました。今後「冒険×ツーリズム」調査を計画するときには、この経験を活かしたいと思います。

最後になりましたが、今回、私たちの調査活動にご理解とご協力を頂いた、ドゥアン・プラティープ財団の秦さん、生き直しの学校で案内や通訳などをしていただいたカムさん、アイリーンさん方々に心より感謝します。

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